3月 221999
 

先月、友人のオカダさんと互いのヨメさん、計4名でベトナムに行ってきました。旅の目的はベトナム料理とカブ。食い物の方はともかく、ダンナのカブ趣味にまで付き合わされるヨメさんは大変です(苦笑) 今回訪問したのはベトナムの商業の中心であるサイゴン(ホーチミン)カブの聖地は日本のハズなのですが、果たしてカブのメッカは何処なのかわからなくなりました。

とにかく多いカブ
多い。とにかく多い。数え切れないほど多い。滅茶苦茶多い。中国の自転車より?多い。夜、サイゴンのタン・ソン・ニャット空港に到着し、中心街へ移動するバスの車窓からでもカブの多さは十分にわかりました。「ラッシュ時のサイゴンの道路をどれくらいの密度でHONDAが走っているのかというと、マラソンのスタートシーンを思い浮かべていただいてランナーを全部HONDAに置き換えてもらうと分かりやすいでしょう。」©オカダシゲル氏…..って具合。サイゴンの通りでは自動車や自転車より圧倒的にオートバイが多い。そして、そのオートバイの大半がホンダのスーパーカブ。そのためベトナムではオートバイとホンダは同義語として通じるのです。

どこかの(この)サイトには「カブの密度日本一」とか云って築地の市場が紹介されていたけど、これをベトナムの人に聞かせたら、「なにーっ!築地にはカブが多いって?てやんでぇ笑わせるなョベラボーメェ! サイゴンじゃ築地で売っている魚の数くらいのカブが走ってら、こんちくしょー」って(ベトナム語で)言われるだろう状態。サイゴンの全200万世帯の約7割がオートバイを所有しその97%はホンダのスーパーカブとすると140万台のカブが走っている計算になる。(極私的推定感覚値)


月曜朝の風景

自由に走るカブ
サイゴンの交通状況を何と説明したら良いのだろう。歩道を走るわ反対車線を走るカブはいるわと、真っ先に「無秩序」という言葉が思い浮かんだのだが…決して無秩序ではない。何せ滅茶苦茶たくさんのカブが走っているのだ。決まりなんて無くても秩序は自然と出来てくる。もちろん信号もあるし警察官もいる….たしかにある程度の秩序はある。 この街の交通の流れなゆっくりとしたものである。通勤時間帯はホンダ、自転車、シクロそれに自動車が皆同じ様なスピードで一緒に流れている。上空からサイゴンの街を見たらきっと整然と流れているに違いない。けれどマクロで見ると実に皆自由に走っているのだ。何か楽しげなのである。

使わないウインカー
サイゴンのカブ乗りはウインカーを使わない。車線変更の時も右左折の時でも人は行きたい方向に勝手に向かって行く。もちろん回りの様子を目で確認してだ。急な方向転換をする時には手信号を使う人もいた。6日ほどの滞在期間中、ウインカーを使うカブはとうとう見掛けなかった。この街でカブのウインカーは単なる飾りでしかないのだろうか。

使わないミラー
ミラーも使わない。ほとんどのホンダにはミラーが付いていない。割れるともったいないから外してしまってあるのだろうか。たとえ付けていてもそれは内側に向けられている。ちゃんと付けると外側に出っ張ってぶつけて=割れてしまうという経済面と、過密なホンダの流れの中では他人のホンダに引っ掛けやすいという安全面からそうなるのだろう。という事でここではミラーは身だしなみの道具になっていた。

使いまくるホーン
ウインカーやミラーは飾りであるが、ホーンの方は重要である。サイゴンのカブ乗りは実に良くホーンを鳴らす。あんなにたくさんのカブの中でホーンを無闇やたらに鳴らしてばかりいたら誰が誰にホーンを鳴らしたのか分からないのではないだろうか。また、みなホーンに慣れているのであろうかホーンを鳴らされても平気である。鳴らす方も鳴らされる方も殺気立った雰囲気ではない。日本であれだけホーンを鳴らしたら無事に目的地には行き着けないだろう。

歩かない人たち
サイゴンのヒトは歩かない。郊外をてくてく歩いているのは観光客か貧乏人だけの様だ。とにかく歩くのは嫌いらしい。カブで行けるところならいくら近くてもカブで行く。なぜ? 歩くよりカブで移動する方が楽だからだ。だから、彼らは少しでも目的地の近くに、たとえ1センチだろうと店の近くにカブで乗り付ける。歩道の有無なんて関係ない。

駐カブ場
サイゴンの人は何処に行くにもカブを使う。しかしカブで出掛けたらカブを停めないといけない。サイゴンにも泥棒はいくらでもいる(だろう)。で、駐輪場である。カブの数が半端じゃないから駐輪場はどこにでもある。その多くは歩道である。カフェの店先あたりの歩道を勝手に仕切ってお兄ちゃんが営業している。客からバイクを預かるとシートにチョークで数字を書き、紙切れを渡していた。


駐カブ場

4人乗り
ベトナムにおいてカブは高価なモノである。未だ1人一台の時代ではなく一家に一台の存在の様だ。1人で通勤する時も家族で移動する時もカブを使う。4人乗りである。典型的な4人乗りパターンは前から弟or妹、父親、兄or姉、母親だろうか。


4人乗り家族

カブは人用
カブは移動のための道具である。「何を当たり前のことを…」と言わないでほしい。日本でのカブは郵便配達、新聞配達、出前を筆頭とする「荷物」を運ぶための道具のハズだ。しかし、サイゴンでは「ヒト」を運ぶための道具なのだ。サイゴンではカブを荷物の運搬に使用する人は少ない。大半のカブはダブルシートか荷台にピリオンシートを付けている。荷台のまま使われているカブは1-2割程度でしかないだろう。では、荷物の運搬には何を使うかというと人力なのである。シクロ(人力車)だ。サイゴンの町中では故障したカブを無理矢理シクロに載せて運ばせている人もいた。


シクロに乗ったカブ

カブは便利
たしかにカブは便利だ。公共交通機関が充実していないサイゴンでは移動の道具が必要だろう。しかし、だったら自転車でも良いではないかと思う。カブより安いではないか。が、町中に自転車は少ない。少なくはないのかもしれないが、あまりにカブが多いので自転車が少なく感ずるのかもしれない。(つづく)

1999-3-22作成

 Leave a Reply

You may use these HTML tags and attributes: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>

(required)

(required)