3月 271999
 

カブは高価

サイゴンのカブは新しいモノも旧いものもきれいだ。皆カブを大事に使っている。汚れているカブは少ないし手入れも行き届いているようだ。出前に使われている日本のカブはひどく汚れたモノが多いのとは対照的である。家庭では夜間は家の中に大事にしまわれるそうだ。当たり前である、カブは高いのだ。ベトナムで新車のカブは約3,000USドル、新車の輸入には100%ほどの関税がかかっているため高価である。平均的な月収は150ドル程度という事なので20ヶ月分。立派な財産だ。道理で大切にされるワケである。ベトナムでは当然ながら最新型のカブがいちばん人気がある。現在のカブの最高峰はタイホンダ製で排気量100ccのDreamIIの様だ。経済的な面では発展途上のこの国ではすべての人間が最新型のホンダを持てるわけではない。


Dream II

旧いカブ
新車が高価な為、中古車の輸入が盛んである。新車が高価なだけに中古車も立派な価値をもっているのだ。新車の買えない人たちの需要は必然的に中古車に向かう。そのためサイゴンでは圧倒的多数を旧いホンダが占める。市中には明らかに日本から持ち込まれた事がわかるカブも多い。郵便配達に使われ払い下げられたカブも良く見掛けた。


浜松郵便局のカブ

彼らは別に旧いホンダが好きなのではないだろう。新車が買えないから旧いホンダに乗っているのだろうが、その数は圧倒的だ。市中を走るホンダの半分近くはタンク別体のモデルである。日本では70年代まで販売されていたが現在はほとんど目にしないし、輸出向けにしても80年代のはじめに生産が終了しているモデルだ。


タンク別体の旧いカブ

日本製 > 他国製
中古車の価値も排気量と年式(もちろん程度も)によって評価されるのではあるが、もひとつ基準がある。それは生産国である。カブは東南アジアのいくつかの国で生産されているためベトナムには各国のカブが走っている。その中でのいちばんはやはり日本製だ。精度が高く耐久性に優れていると思われているのであろう。その他にもタイ製や韓国製のカブもあるが日本製のカブよりも価値が低いとされている様だ。そのため中古のカブを日本製に見せかけるため、わざわざ日本語のコーションラベルを張り付けたりする。


DMC HONDA(韓国製)のカブ

レストア
新車が高いから中古車にも値が付く。という事でベトナムではいくらボロいカブでも直す。人件費は相対的に安いからなおさらだ。全部バラしてサビを取り、塗装し直して組み立てる。まさにレストア作業。その作業にひと月掛かってもそれなりの価格で売れれば立派に商売になる。何といっても新車の価格が3,000ドルで平均月収は150ドルだからね。彼らが日本の解体屋を見たら宝の山に映るだろう。


レストア風景

模造(偽)純正部品
沢山のカブが走っているから部品の需要も多い。そして純正部品は日本を筆頭とする外国製品だ。という事で必然的にニセモノや模造品が流通する事になる。ガスケットやワイヤー類、ブレーキシューといった消耗品類は当然として、シートやフロントフェンダーやサイドカバーといったプラスチック製の外装部品、果てはエンブレムからコーションラベルまでとその品揃えは豊富だ。


模造品の山

リアフェンダー
カブのフレームの弱点を知る日本人は少ないだろう。普通はここがダメになるまで使わないから知らないのだ。それはリアフェンダーである。カブのリアフェンダーはフレームと一体でそのフェンダーは薄い鉄板で造られているためサビに弱いのだ。カブをとことん使い倒すベトナムではこれも直す。ホンダではフレームと一体のリアフェンダーは部品としては供給していないがここではちゃんと?部品として用意されている。


リアフェンダー交換中

シート屋
非純正部品で充実しているのはシートである。街にはシートの専門店がじつに多い。仕事はシートの張り替えやピリオンシートの製作の様である。需要が多いのであろう、純正そっくりのニセモノから2トーンカラーのモノ、果はカモフラージュ柄のシートまで売られていた。ご丁寧にもほとんどの製品にはちゃんとHONDAのロゴが入り、ダブルシートなどには後ろだけでは足りないのか両側面にもロゴが入っている。ピリオンシートを手にしてみるとベースは建築用の厚いベニヤ板(コンパネ)だった。


シート屋

各種専門店
という事でベトナムのバイク屋は専門店化している。前述のシート屋の他にもパンク修理やスプロケットとチェーンの交換を主に扱う店もある。中でもいちばん多いのはパンク修理屋だ。市中のちょっとした交差点には店がある。店といってもパンクを修理する最小限の道具を備えた路上修理である。これはパンクがもっとも一般的なトラブルである事と、修理屋の中でいちばん資本が掛からない事が一致した結果であろう。


路上パンク修理

他、スプロケとチェーンの交換屋も路上無店舗営業が目に付いた。もっともこちらは高価な日本製部品の在庫が必要なのでパンク修理屋より開業に資本が要るだろう。スプロケは非純正品がメインではあったがチェーンは日本の大同工業(DID)のシェアが高い様であった。(ニセモノか?)看板代わりに路上にスプロケとチェーンの箱をぶら下げている。


路上チェーン店

レッグシールド修理
フロントカバー(レッグシールド)の修理屋もよく目に付いた。店の数じたいも少なくないし、モノが白くて大きいから目立ったのであろう。レッグシールドの割れた部分を百円ライターなどで溶かしてつなげ、ヤスリで荒研ぎした後サンドペーパーで水研ぎし、仕上げにバフ掛けをして完成。器用なものである。店の軒先にはたくさんの完成品が下げられていた。


レッグシールド修理店

修理屋街とバイク屋街
こうした修理屋や部品屋はサイゴンの市中各所に集まってバイク=ホンダ=カブ屋街をなしている。私はサイゴンの中心部から4キロほど北西にあるタンタン市場やビン・タイン区、そしてタン・ディン市場の修理屋街を見物したがまだまだある。サイゴンではカブに限らず食料品の市場を筆頭に衣料品、電気製品等の店が集まって○×屋街を形成することが多い様である。カブの販売店も同様に中古車、新車を並べた店が集まっている。有名なベン・タイン市場の西側、レ・タイン・トン通りは上野のバイク屋街の店のすべてがカブだけを並べているといった様相。

ベトナムキャリヤ
現地のカブでもっとも普及しているアクセサリーは、レッグシールドの内側に付けるキャリヤである。普及率は97%(独自調査による感覚値)といったところか。何せここでは荷物を運ぶより人を運ぶ方がはるかに優先順位が高いため、後ろの荷台はほとんどピリオンシートになっている。そこで荷物スペースとしてこのキャリヤが必要となるのであろう。残る3%のカブのうち2%はキャリヤの代わりにトランクが付けられいるが、その上面はちゃんとシートになっている。キャリヤにはばね式の押えが付いていて、スコールには必需品のポンチョを挟んでおくにはちょうど良いサイズだ。(つづく)

1999-3-27作成

 Leave a Reply

You may use these HTML tags and attributes: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>

(required)

(required)