8月 152002
 

先月から中国でスーパーカブの現地生産がはじまった。正式にはスーパーカブではなくWave(中国名:威武)であり正確には生産自体もホンダではなくホンダと中国の2輪メーカーとの合弁会社の新大洲本田摩托有限公司だ。

このホンダの合弁相手はこれまでカブのコピーバイクを造っていた会社だというから面白い。開発能力が無くコピーバイクしか造れないため将来に危機感を持った中国のコピーメーカーと、日本の会社が真似する事のできないコピーメーカーの低コスト生産能力を、ホンダが評価した事による今回の合弁事業だ。

この合弁により元コピーメーカーは中国でコピー製品への法的規制が厳しくなっても生き残る事ができるし、ホンダは低コストのバイクを中国で製造、販売する事ができる様になる。その上、中国のコピーバイクが大挙流入してホンダのシェアを奪ってきたベトナムでのコピーバイク問題も解決するというワケだ。

このWave、名前から察する通りアジア各国で販売されているスーパーカブの現代版のデザインを踏襲している。現在アジア各国で生産されているカブ系バイクはエンジンが100ccでフロントはテレスコピックフォーク。外観もカウル付き異形ヘッドライトでスクーターの様な現代的なデザインである。

一方、本家である日本のカブは未だに丸目のベーシックなタイプと角目のカスタム系だけである。なぜ日本よりもアジア各国のカブの方が格好良くなってしまったのだろう。

東南アジア諸国の経済が発展し豊かになったといっても、ベトナムや中国では自動車が一家に1台普及するまでには至っていない。これらの国で市民が購入できる移動手段といったらカブが最高峰である。そのためカブは移動手段という道具としての本来の用途に加えて、ステータスシンボルとしての役割を持たせられているのだ。

そのためこうした国々でのカブにはマーケティングの面でも、豪華な凝ったデザインが必要なのだ。思い出してもらいたい。日本でもマイカーブームと言われた時代には競って豪華さを追求した新車が発売されていたし、カラーテレビの普及の過程では家具調で扉の付いたモノまでラインナップされていた。

一方、経済が発展し先進国と言われる様になった国のカブにはもはやステータス性は求められない。必要なのは実用性と経済性だけである。こうして日本では外観の無用な進化は止まった。時代的には1980年代前半に角目のカスタムがデザイン変更の最後だったのだ。もっとも、だからこそ現在の様にカブが若い人々から目を向けられる事になったとも言えるだろう。

日本人の目から見ると発展途上国でのカブはデザインされ過ぎている。丸目のカブが好きで乗っているヒトには「格好良すぎて好きじゃない」と言われてしまうだろう。すでにアジア諸国ではこうしたカブ系バイクにスーパーカブの名前も用いられていないので、日本人の感覚で「カブ」と呼べるスーパーカブが残るのは日本だけなのかもしれない。

2002.08.15

 Leave a Reply

You may use these HTML tags and attributes: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>

(required)

(required)