9月 262002
 

今年もホンダエコノパワー燃費競技全国大会(エコパ)に参加した。これまでは市販車クラスという2輪車のクラスにカブで参加していたが、昨年から市販車クラスはマシンの改造が禁止された。そのためこれまでの様な工夫しながらマシンを造る楽しみは失われてしまった。もっとも、車検でエンジンを分解したりノーマル車両と比較したりするワケではないので、車検でバレない改造をする事も可能ではあるがそれはやりたくない。

一時は不参加を考えたがエコランの楽しさは何にも換え難い・・・それにカブで燃費を追求する事にも拘りたい・・・と考えた結果、カブに車輪をもうひとつ付け加えて3輪にすれば、エコラン専用マシンが参加する一般クラスにエントリーできるという結論に達しエントリー。もちろん一般クラスは燃費日本一を競うクラスでありこのクラスでは入賞などはあり得ないが、自分の中の「カブで燃費向上を目指す」という目標に向けてチャレンジする事にしたのだ。

一般クラスに出場するためには3輪以上でなくてはならない。当初は20インチ径の自転車用タイヤを使う事を考えたが、車両規定を何度も何度も読んでいると自立できる構造であれば走行時に車輪が浮いてしまってもダメとは書いてない事に気付いてしまった。考えてみれば3輪車でも4輪車でも走行中、急にハンドルを切れば車輪が浮いてしまう事があるので、車輪が路面から離れることを禁止するのは現実的ではないのだ。

これに気が付いた時点で転がり抵抗の少ない車輪を探す事は中止。小さくて空気抵抗の少ない車輪という事で採用したのはキックスケーターの車輪。ブームの去ったキックスケーターは1980円で売られていたので値段も手ごろ。この車輪をアルミの角パイプに取り付け、車両規定にあるトレッドは500ミリ以上に合わせて車体に結合。これで自立する構造の完成だ。

しかし、第3輪は一般クラスに出場するためだけの改造。今年の燃費向上対策は「空気抵抗の軽減」に決める。一度に空気抵抗の軽減やエンジンの改造を平行して行うと、どちらの改造で燃費が良くなったか分からなくなってしまう。そのため今回はエンジンに手を付けないで行く事にする。(これは両方の改造を行うのは面倒な上、テスト走行の場所も燃料計測の設備も無い事への言い訳でもある)

「空気抵抗の軽減」と来たらやる事は決まっている。カウルの装備だ。しかし単に板を曲げて作る2次曲面のカウルでは、大きくなってしまいがちだし横風にも弱くなってしまう。それより何より2次曲面ではカッコイイ形は望めない。3次曲面のカウルといえばレース用バイクのFRP製カウルが思い浮かぶが、FRPのカウルは最初にオス型を作りそれを元にメス型を作ってからやっと実際のカウルを作るという、面倒で手間の掛かる行程が必要。また、FRP作業は匂いもホコリも出すのでマンションの一室でできる作業ではない。

そこでレース用のヨットやサーフボード、人力飛行機やラジコンのグライダーの製作方法を調べてた出した結論は、サーフボードの製作方法の様に発泡樹脂を削って求める形に整形する方法。サーフボードは外側をガラス繊維とエポキシ樹脂で固めて仕上げるが、これでは重くなってしまうので、外側はラジコングライダーの主翼に使われる、外側にフィルムを張って仕上げる方法をとる事にした。

発泡樹脂は家の断熱材に使われているスタイロフォーム(以下スタイロ)。軽いが建材店では畳1畳分のサイズで売られているので車に載せて帰るのも大変だ。これを原寸で書いた型紙に沿ってカットし重ねて行く。曲面の変化が大きいところは20ミリ厚のスタイロを使い、曲面の変化の少ない場所は50ミリ厚のスタイロを使う。もちろん外側だけでなく適当な厚みを残して内側も事前にカットしておかないと後が大変だ。

スタイロはカッターナイフで切れるが厚くなると刃が届かないので、ニクロム線に電気を流し熱でカットするための道具も製作。熱の調整はスライダックという電圧をコントロールできる可変トランスを購入、使用した。

カットしたスタイロは20枚近く。今度はこれをエポキシ接着剤を使用して重ねる。普通の溶剤系の接着剤ではスタイロが溶けてしまうのだ。これをなだらかな形に削り目的の形状に仕上げた後、カッティングシートをドライヤーで暖めて伸ばしながら貼って完成。文章だと簡単だがひたすら地味で面倒な作業の連続であった。

こうして製作したカウルは前の部分のみ。側面と後部は昔の布張りの飛行機の様にしようと考えたがリブを作るのは面倒だし壊れやすいと輸送も困難。リブの代わりにグラスファイバーのパイプの張力を利用して、ドーム型のテントの様に側面と後部を形作ろうとしたが、材料を買って布を仮縫いし張ってみると綺麗なカーブを描いてくれない。本番まであと2週間を切っていたのでこの方法では間に合わないと判断。悩んだ末側面と後部はスチレンペーパーで製作する事にした。もっともスチレンペーパーは一度貼ったら綺麗に分解できないので造ったら車に積めない。そのため大体のレイアウトをテストで確認、本番用は当日に会場で作る事にした。


フロントカウルとテスト中のサイド&リアカウル

話は前後するが、フルカウル化の前段階の準備として、前面投影面積(前から見た時の大きさ)を減らすため車高を限界まで下げた。フロントはサスペンションのスプリングを取り去ると、サスペンションアームが鉄板でできたフロントフォークに当たるのでその部分もカット。タイヤが三叉の下部に接触する寸前まで下げた。後輪はリアショックを取り外し、代わりに角パイプを加工して装着。もちろん長さは車高を下げられる限界の寸法に。

また、これもまた前面投影面積を減らすためハンドル位置と巾も変更。昨年はハンドルブラケットを加工して低くし、巾もノーマルハンドルをカットして狭めたが、今回は限界まで前面投影面積を小さくするため、ノーマルハンドルの部品は全て取り去りフロントフォークの前側、普通のカブのライトとフェンダーの真中程度の高さに、FRP製のハンドルブラケットを作製して接着した。これで寸法はハンドル巾34cm、ハンドル高61cm、シート高60cm。ちなみのノーマル車の値は順に66cm、96cm、73.5cmである。


カウルレスのマシン

前述の通り、今回はエンジンや駆動系は前回の仕様のまま手を加えない事にしたので事前のテストはナシ。実際にはカウルの製作に時間を取られてテスト走行ができなかったのだ。大会出発前日にオイルや水を確認しバッテリーを充電してセルモーターが回る事を確認しただけである。

そして大会の前日、9月21日にサイドとリアカウルの材料となるスチレンペーパーを文房具店で購入してから会場のツインリンクもてぎのとなり村、御前山村の宿に夕方到着。念のため少しだけでも走ってみようとマシンを車から降ろしてガソリンを入れると、キャブのドレインを閉じるのを忘れていたためガソリンが漏れてきた。それだけなら良いがフロアパネルとして装着したスタイロフォームがガソリンで溶けてしまっている。スタイロの弱点を忘れていたのだ。慌ててガソリンを拭き取る。見た面は酷い状態になったしまったが機能に影響は無さそうで一安心。

エンジンは簡単に始動したが今度は全然回転が上がらない。焦ってスロー調整をしたりするが症状が改善しない。5分ほど悩んでエアクリーナーの空気取入口の全てを雨が入らぬ様、蓋をしていた事を思い出す。これでは回転が上がるワケが無い。蓋を外して問題解決。

タイヤにエアを3キロほど入れようやくテスト走行。数十メートル走ったが転がりが悪い気がする。相当荒れた路面の状態を差し引いても悪過ぎだ。戻ってタイヤを手で回してみたら前後輪ともに大きな抵抗がある。タイヤが車体に接触していたのだ。

車高を下げる作業の時はタイヤの空気圧を下げていたので接触しなかったが、空気圧を上げたことで僅かにタイヤの外径が大きくなり車体に接触してしまったのだ。これもテストを怠ったため。本来ならタイヤの当たる部分の車体を削って対応したかったが、道具を持っていなかったため2ミリ程度のスペーサーを噛ませる事で対処。これでようやく安心して夕飯が食べられる(苦笑) 其の弐へ続く

2002.09.26

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