6月 172014
 

タイトルを見て???となる方は工具の知識のある方です。ソケットレンチの差込角は6.3mm、9.5mm、12.7mm等と規格で決まってますからね。

レンチをソケットとハンドルに分解し、両者を四角の凹凸で接続するという発想は、Snap-onの創業者のアイデアとされている。1920年のSnap-onの創業時には「5種類のハンドルと10種類のソケットで50の仕事ができる」というキャッチフレーズが使われた。

snap5x10=50

当初のモデルには1/2インチの差込角(square drive)が採用されたが、その利便性からそれよりも大きな差込角や小さな差込角の製品も作られる様になった。1/2インチ(12.7mm)の上には3/4インチ(19mm)や1インチ(25.4mm)等がある。

・・・そこでこの7.1mmの差込角である。1/2インチの下の規格として1925年に製品化されたのが9/32インチ(7.1mm)の差込角なのだ。実物がこれ↓である。

snapon932

ところで現在最も一般的な差込角である3/8インチ(9.5mm)はどうかと言うと、これが製品化されたは1927年。9/32インチよりも2年遅れての登場だ。当時は1/2インチ、3/8インチ、9/32インチが一般的な差込角だったのだ。

当時のSnap-onは製品カタログを(ほぼ)毎年改定していた。それを見てゆくと、1/4インチの差込角の製品がカタログに載る様になったのは1940年代に入ってからで、しばらくは1/4インチと9/32インチが併売されていた様だ。

それが1945年になると、カタログから9/32インチは姿を消して1/4インチだけになっている。9/32インチと1/4インチの差は0.6ミリとわずかなので、規格を整理したのだろう。そこでリストラされたのが9/32インチの差込角だったというワケだ。

機械や部品のサイズが小さくなれば、それに比例して精度も要求されるので、当初は9/32インチが採用されたのだろう。それがその後の工作技術の発達にともなって、1/4インチが取って代わる事になったのだと思われる。製造技術の進化です。

同時にこれらの工具で整備する、特に自動車をはじめとした輸送機械類の部品も、小型化が進んだ事もあるだろう。これも工業技術の進歩にともなうものだ。機械や部品が小さくなって、使われるネジ類も小さくなれば、工具も小さい方が使いやすい。こちらは使用者ニーズの変化によるものといえます。

そして社会的背景。1940年代といえば第二次世界大戦。日本による真珠湾攻撃が1941年の12月で、戦争が終わったのが1945年。戦争末期の1944年と1945年のSnap-onも軍需工場と化していたので、そうした時代背景も規格の整理につながったのだろう。

snapon1941cata

これは1941年のSnap-onのカタログ。ミジェットレンチとして9/32インチのシリーズが掲載されている。1/4インチはまだシリーズ化されておらず、ひとつだけ”Special Midget Ratchet with 1/4″Square Drive”として1/4インチのラチェットレンチが掲載されている。そしてソケットのページにも1/4インチの製品は載っていない。この当時1/4インチは何か特殊な用途向けだったのだろうか。

【参考】
Snap-onの製品には製造年の末尾の数字が刻印されており、その数字は各年代で書体を変えてあるので対応表を見れば製造年が分かる。しかし、第二次世界大戦末期の1944年と1945年は数字でなくE=EmergencyとG=Govermmentという刻印になっている。詳細はsuper-cub.com/戦時中のSnap-onをご参照ください。

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