8月 211998
 

切り出しコンロのできるまで【丸和工業編】

a.材料の採掘

切り出しコンロの材料は珪藻土の塊だ。珪藻土は能登半島の珠洲市周辺で豊富に産出されるが、地中から掘り出さなければならない。現在丸和工業で使用する材料は、地上から坑道を300メートルも進んだ、地下30メートルほどの場所から手堀りで採掘されているそうだ。 珪藻土の塊は粘土の様。ただ固く締まっておりぶつけたら変形せずに割れるだろう。材料は製品に合わせ角形のブロックか円筒形に切り出され、トラックで工場に運び込まれる。


 素材

b.成型

角形のコンロは手作業で、丸形のコンロは木の器やコケシと同様に、ロクロで外形と内側を削り出される。そして、チェーン鑿(ノミ)という機械で風口(空気の入る下側の穴)を掘ってから空気穴をドリルで開ける。


 外側を削るろくろ

 内側を削るろくろ

 チェーン鑿(ノミ)

 加工途中品

次に行われるのが花切りという加工。コンロの上側の開口部を大型のノミで削り、花が咲いた様な形状にする。丸形は丸ノミで、角形は角ノミで彫られる。これは完全な手作業だ。


 花切り作業

 角型

珪藻土は粘土と異なり、削りすぎたりキズを付けると修正が効かないため廃棄されてしまう。工場内には一見何でもない、良く見るとわずかにキズが付いた物が削りクズと一緒に転がされていた。 花切りの後コンロの上下を削り、地面やナベに接する部分を加工して成形は終了である。

c.焼成

成型の済んだコンロは窯で焼かれる。窯はレンガで組まれており、陶器や炭を焼く窯と同じ様な形状だ。コンロのこの中で2昼夜、800度の温度で焼かれる。


 焼成窯

焼成の終わったコンロは珪藻土の濃い灰色から一変し明るい肌色となっている。桃色がかった健康的な肌色だ。


 焼成後

しかし、焼成中にヒビが入ってしまうコンロも少なくない。天然の素材であるが為、不純物や材料の不均一によるものであろう。ヒビの検査はコンロを金槌の柄で叩いて行う。ヒビの無いコンロは澄んできれいな音だ。

d.表面仕上

焼成された物の表面を磨くと、コンロは健康的な肌色から清楚なベージュに容姿を変える。普通はこれが表面となるが、用途によりこれをさらに白く塗ったり、汚れが目立たぬ様に黒く塗る場合もある。


 研磨前後

e.仕上げ

最後に金具類を取り付けて完成となる。鉄板の帯を巻いたり、空気窓や取っ手、仕様により足やナベの当たる部分に鋲を打つ事もある。高級品には鉄に代わって真鍮製の金具が使用される。最後に銘板を取り付けて完成だ。


 金具の取付

 銘板

他写真


 工場の入り口に製品が展示されている

 普通の切り出しコンロ(丸形)

1998.08.21

8月 151998
 

丸和工業さんの次に、同市内の七輪メーカーである鍵主工業へ向かう。車で10分ほどの場所だ。工場は結構大きな規模である。丸和工業さんの様な家内制手工業の雰囲気ではない。

鍵主工業さんは切り出しでなく成型品の七輪と、珪藻土の平板を鉄枠でつなげた焼き鳥屋やうなぎ屋用といった、業務用コンロを作っている会社でホームページも持っている。ホームページは同社の若旦那、常務取締役である鍵主哲さんが作っている様だ。

工場前には売店を兼ねた珪藻土資料館があり、通りがかりの観光客も立ち寄っている。館内には珪藻土に関する様々な展示物が並べられており、珪藻土は七輪の原料だけではなく様々な用途があることが分かる。耐火レンガで有名なイソライトもこの工場で作られているそうだ。

この鍵主哲さんはなかなかのアイデアマンで、七輪の良さを皆に知ってもらおうと様々な試みをしている。ホームページもそうだが、缶入りの七輪BBQセットは優れた製品。

これはペール缶と言われる20リットルの容量を持つ丸い缶に、七輪と焼き網、炭、着火剤を入れた製品で、これだけで七輪でのバーバキューが楽しめるという便利な製品。ペール缶は持ち運びにも便利だし、衝撃や水濡れに弱い七輪の保護用としても役に立つ。アウトドア派にはとても便利なパッケージだ。

ひとしきり資料館を拝見した後、鍵主哲さんにお会いし、七輪に関する話をいろいろと伺った。

珠洲市では町興し事業として、珠洲焼きという焼き物をフィーチャーした立派な資料館を持っているが、珠洲焼きと珪藻土とは全く関係が無く、現在のところ珠洲の特産でもある珪藻土および七輪は、行政側からは関心を持ってもらえない状況との事。

珠洲市およびその周辺には、鍵主工業さんや丸和工業さんの他に4社、計6社が七輪を製造しており、丸和工業を含め3社で切り出しコンロを製造している。丸和工業さん以外の2社には後継者がいるので、切り出しコンロが今日明日に廃れてしまう事は無いという事でした。

後継者云々は以前に鍵主さんから伺っていたのですが、わたしには丸和工業の脇田さんに直接この事を聞けませんでした。

鍵主工業さんを後にしてから工場を見せてもらえば良かったと後悔。成型品の製造工程は次の機会の楽しみとさせていただきます。

その後、市内のホームセンターをのぞいてみました。私の経験からするとホームセンターはスーパーマーケットに劣らず地方色を感じることができる場所。

果たして、やはり充実していました。七輪は丸形の成型品が大きさ別に3種類ほど。その他にも角形のものや成型されたコンロを陶製のガワに納められた製品も。これははじめて見る形。また、炭も普通のナラ炭から備長炭まで。消し壺なんかもありました。この地ではこうしたた製品が結構使われているという事ですね。

ちなみにスーパーマーケットでは発見無し。あと、珠洲市には奥能登塩田村という、海水から塩をつくっているところもあります。炭火での焼き物にはおいしい塩は欠かせませんよね。

私たちはこの後、ガイドブックで能登半島の富来(とぎ)町はフォアグラの生産量が日本第2位の町(1位は何処?)とあったのを見つけ「フレッシュなフォアグラを炭火でさっと炙って・・・」と想像(^_^)。遠回りして立ち寄ったのですが、探し方が足りないらしく、残念ながら生フォアグラには巡り会えませんでした。

私の七輪の聖地=珠洲へ旅はこれにて終了、出会いと発見とで充実した一日となりました。もっとも見落とした事も少なくありませんでしたが、それらは次回の楽しみと云う事で。

【後記】

金沢の近くの国道沿いに「七輪屋」というファミリーレストラン風の焼き肉店を見掛けました。開店前だったのでくわしくは分かりませんでしたが、テーブルに埋め込みのガス台は無く、七輪でサーブしている様でした。

七輪の事を関西では「カンテキ」って呼ぶんですって。七輪にも種類は多くわたしが持っている七輪は「品川コンロ」というらしいですし、美濃焼のモノとかもあるらしい。まだまだ深い七輪の世界、精進せねば。

「塩」に興味のある方はたかやまさんのHP(http://homepage2.nifty.com/tkymcoffee/←リンク切れ)をごらんください。塩を作ってみたくなりますよ。

丸和工業さんで見せていただいた切り出しコンロの製造工程は、七輪通信_増刊号をご覧ください。

1998.08.21

2002-12-19改訂

8月 141998
 

全国の七輪愛好者のみなさまコンニチワ。「七輪通信」第5号をお届けいたします。七輪通信の創刊号でお伝えしたテレビ番組の内容には(わたしの見間違い聞き違いを含め)多くの誤りがあるとの事。そこでわたしは七輪の産地である石川県珠洲市へ行ってまいりました。今回はそのレポートです。

【珠洲に七輪を訪ねて】前編

七輪の聖地である珠洲市は能登半島の突端の町だ。金沢市内から車で能登有料道路を使っても約150キロ、3時間ほどの行程である。

我々が訪問した日、石川県内には大雨洪水注意報が出ており能登有料道路では前が見えないほどの豪雨であったが、高速道路の終点の穴水から先はとても良い天気。

到着した珠洲市は海沿いの静かな町。落ち着いている、すなわち活気が無いという意味でもあるが、これは日本の多くの町村が直面している共通の問題だろう。

最初の訪問先は丸和工業さん。

大きなスケールの地図しか持っていなかったので、近くと思われる所から電話をして場所を教えてもらう。2度目の電話の後は、脇田氏の奥さんが工場の前に出て待っていてくれた。

本当は真っ先に製作行程を見たいのだが、まずは奥さんに製品を見せてもらいながら説明を伺う。初めて見る切り出しコンロは色白で凛とした気品を漂わせている。わたしはこういったモノに滅法弱いんです。

見るといろいろ欲しくなってしまうのだが、もっともベーシックな丸形の七輪を2種類ほど購入。普通のサイズが5.500円ほど。

妻が魚の踊り串を立てられる大型のコンロを見て「これもいいね」と言うと、奥さんが展示品でちょっと汚れているからと、汚れているとはとても言えないそれを戴いてしまった。恐縮である。

奥さんとひとしきり話をする。テレビ等で紹介されたのが幸いしたのか製品の引き合いは少なくないようだ。彼女の明るい表情を見て商売の好調を察し、安心する。

その後、工場内を見せてもらう。作業は年輩の方々5名ほどで行われていた。それぞれ分担して機械を使った削り出し作業、手作業での花切り加工、金属枠の取付等が黙々と進められている。

製品の種類は非常に多い。

旅館で出る固形燃料を使う小さなものから、普通の七輪の数倍の大きさの物まで様々だ。形も丸や長円形のもの、正方形や長方形のもの、サイズもそれぞれ数種類ある。中には外側に和紙を貼った物や、外側を黒く塗ったものもある。これは焼肉屋からの注文で油染みで汚く見えるのを防ぐためだそうだ。

やや緑がかった濃い灰色の珪藻土のブロックから削り出したばかりのコンロを持ってみる。それはひんやりとしてずしりと重い。製品の倍はありそうに感ずる。珪藻土に含まれる水分がこの重さとなっているのだろう。これを焼く事で水分が抜け、断熱材として優れた多孔質となるのだ。

お仕事の邪魔にならないよう一通り工場内を見学したところで、切り出した珪藻土のブロックを積んだトラックで社長の脇田又次氏が戻ってきた。

彼には前の週にお邪魔することをFAXで伝え、その返事を電話でいただいた事もあったので、素晴らしい笑顔で歓迎してくれた。

以前に見た丸和工業さんを取り上げたテレビ番組では、消えゆく職人技という様なコンセプトで展開していたせいか暗く湿ったいイメージで構成していたが、それは単なる演出でしかなかった。

脇田氏には削り出したコンロを焼成する窯等を案内していただいた。

4畳ほどの広さの窯の中には、すでに成型の終わったコンロが7割ほど積み重ねられている。これを2昼夜焼き続けると肌色がかったきれいなベージュに変容するのだ。

切り出したままの珪藻土を削って焼くため、この焼成の段階でヒビが入ってしまう物も少なくないとの事。廃棄された物の中にはちょっと見ただけではヒビが入っている分からない様な物まである。

脇田氏がそれを拾い金槌の柄で叩き「ヒビが入っているかどうかは音で分かる」と説明してくれる。もっとも小さなヒビなら金属枠もあるので使用には差し支えないそうである。

転がされた中のいくつかを叩き「これなら普通に使うのに差し支えないから持って行きなっ」と角形のコンロを戴いてしまった。またも感激である。焼成しただけで金属の枠も何もないコンロは裸の赤ちゃんの様。大事にせねば。

図にのったわたしは最後にこちらからお願いをしてしまう。珪藻土の削りくずの山に転がされていた焼成前の不良品らしきコンロ一歩手前のものをねだり、戴いてしまったのだ。

本音は珪藻土を切り出す現場も見てみたいところであるが、たかだか2-3個の七輪を求める客の分際で、これ以上の仕事の邪魔は失礼と思い丁重に礼を言い辞する。奥さんがわざわざ外まで出て見送ってくれた。

脇田ご夫妻の素敵な笑顔と、素晴らしい手仕事を拝見しとても充実した気分だ。東京から車で700キロの道程を来る価値は充分にあった。多分わたしはまたこの地を訪れることになるだろう。

次号につづく

【後記】

今回の旅には七輪も連れていきました。山梨では自分で採らせてもらった椎茸を。石川では近江市場で買った松茸を焼きました。焼き物ではありませんが近江市場では鰆(サワラ)のトロはお薦めです。関東ではあまり生食しませんが鮪に劣りませんよ。

魚も良いですが夏は野菜が安くておいしいですね。茄子、ピーマン、シシトウにトウモロコシ等々・・・と言いつつ、サンマがそろそろおいしい季節となってきました。私すでに「オレは炭火で焼いたサンマ以外は食わネェ」宣言をしていますが皆さんはどうですか(^_^)

1998.08.21

7月 181998
 

全国の七輪愛好者のみなさまコンニチワ。「七輪通信」第4号をお届けいたします。わたしは先日も自宅から程近い場所で七輪しました。すでに陽射しは夏を思わせる中、木陰でジュウジュウ。雪中での七輪も風情があって良いものですが、初夏の風も気持ちいいものですね。今回は予定を変えて(なりゆき任せで)食材を特集させていただきます。

【続・おつゆをこぼすな】

前回のアサリやハマグリの話にご意見をいただきありがとうございます。あの後、なぜか連続してNHKの「ためしてガッテン」やJ-Waveのラジオ番組で同じ様な話題が取り上げられていました。

それによると貝をひっくり返らない様にする方法としては、蝶番を切る方法とオーブンで上から加熱する方法が確実な様でしたが、七輪ファンの美意識?ではどちらの方法もエレガント?(風流?)とは言えません。

やはり、アサリやハマグリは汁がこぼれないかドキドキしたり、汁をこぼしてがっかりしたりしながら楽しむのが醍醐味という事でしょう。

現在わたしは開いたアサリを箸を使って閉じ、汁がこぼれない様にひっくり返すという高等テクニックの習得に励んでいます。現在の成功率は2割5分といったところ。達人を目指します(^_^)

【アサリと醤油】

アサリを焼くときの必需品といったらお醤油ですよね。塩派の方もいらしゃるかもしれませんがウチは醤油派。開いたアサリを上手にひっくり返し、醤油を垂らしてからズッと啜る。そしてその後は日本酒でしょうね。んーっ堪りません(^_^)

しかし、アサリをひっくり返す時の他にも緊張を強いられる場面があります。醤油を垂らす瞬間です。油断すると醤油を垂らしすぎてしょっぱいアサリになってしまうことがよくあるのです。

我が家の焼きアサリに対する醤油の適量は1滴か2滴なのですが、こうしたデリケートな作業に通常の醤油差しは適しません。そこで、このほど我が家では新兵器として「焼きアサリ専用少量滴下醤油差し」を開発し装備に加えました。

モノはDIYショップにあった小型の油差しです。これで小さなアサリであろうと口が5ミリしか開いていないアサリであろうと大丈夫。1滴どころか半滴でも1/4滴でも調整可能な優れもの。ただしプラスチック製なので熱には注意。(お弁当に付いてくる魚の形の醤油入れあたりでも良いでしょうね)

【サザエとアワビ】

普段は倹約と常とし?質素に慎ましく暮らす?我が家にとって七輪はハレのイベント。ついつい普段は手を出さないこうした食材を買ってしまいます。

サザエは一番絞りのCMに影響されて味噌サザエにトライ。美味しい味噌を使ったのが功を奏しなかなかの美味。醤油味よりもまろやかな感じで、例のグルグル?なところも美味しく楽しめました。グルグルといえば、あれを引き出すときにも途中で切れてしまわないかと緊張しますよね。

アワビというのはウソ。いつも少し迷うのですが、ウチでは安い方のトコブシを選んでいます。一口サイズがアワビよりも七輪には適していると自分に言い聞かせていますが、いつかはでかいアワビを残酷に踊らせてみたいものです。

こうした一枚貝は他の貝類と違い、焼いている途中でひっくり返ったり、グルグルが途中で切れる事もありませんので、安心して調理できるところがうれしいですね。反面、2枚貝や巻き貝と比べると感動も少ない様な気もします。(わたしはデカイアワビを躍らせたことが無いので、こんな事を書いているのかもしれません)

そういえば、一枚貝ではありませんが、ホタテ貝は今までオーブンを使ってしか焼いたことがありませんでした。上火も貝の上部がちょっと焦げて良いのですが、炭火の遠赤外線とどちらが美味しいでしょうね。

【イワシ】

先月(6月)の中ころに七輪した時の体験です。新鮮(そう)な丸々と太ったイワシをスーパーで購入し焼いて食べたのですが、ふっくらとして驚くほど美味しかったのです。

素材が良かったのか、久しぶりの(野外)七輪の雰囲気のせいかは分かりませんが、これほど家(ガス)で焼くのと違うのとは思いませんでした。旬のサンマ以上に美味しく感じました。

その後、不漁のせいかイワシが高かったため試していませんが、イワシなんかと云わずに皆さんも試してみてください。ただし、塩だけはそこそこの物を使ってくださいね。塩化ナトリウム99.9%はダメです。

あと、今度は高山さんに教えていただいた自家製の一夜干しも試してみたいですね。

【カニ】

こちらは失敗例かも。先日所用があって茨城県に行った帰り、那珂湊港の市場で良い型の生ズワイガニが安く並んでいたのに目が眩み、4匹(杯)買って帰ったのです。

2匹は早速茹でてみたのですが、水っぽいというかかなり大味。けど、翌日七輪で焼いてみると大分味が締まってそこそこの旨さに。

カニミソはとても美味しいと感じたのですが、結論としてズワイはやはり旬の冬場に限るようです。

【その他】

新鮮な魚介類を先に食すと、肉類はどうでも良くなってきてしまいます。いつも魚介類のあとに上ミノ、タン塩、カルビ等と進むのですが、最近はカルビは要らなくても良い様にも感じています。

もっともこれは単に食べすぎが原因。次は肉と真摯に向かいたいとも思っています。

おっと、野菜類もちゃんと食べていますよ。まずはキノコ。直火で焼いて美味しいキノコといったらシイタケが一番好きです。最近は、他のキノコや野菜類はオリーブオイルあたりを合わせたら美味しく焼けるように思いますので、今度試してみたいですね。

【ギリシャの鯵】

だいぶ以前にNHKの紀行番組で見たのですが、ギリシャの港町の路地で七輪の様なモノでアジを焼き、それをパンに挟んで食べているのを見たことがあります。

これを今度七輪で再現してみたいのですが、フランスパンとアジ、後は何が良いのでしょうかね。オリーブオイルも合いそうな気がしますが、ニンニクやパセリも加えると良いかもしれません。

香草は何が良いのでしょう。どなたか良いアイデアはありませんか?

【後記】

このところわたしは珪藻度の成型七輪ではなく、簡便な耐火材+ブリキの七輪を使っています。また、炭もDIYショップで購入した安物です。今度は一度、国産の炭と比較してみたいと思っています。

そうそう、前回ダッジオーブンの事も書きましたが、ダッジオーブンのメーカーであるロッジ社からスポーツマングリルという名称のコンロ?が出ています。

鋳鉄製で七輪の数倍の重量がありそうな代物ですが、物としての佇まいはなかなか。七輪と比べると燃焼効率や火力調節の容易さははるかに劣りそうですが、七輪の美しさを理解できない人間を炭火焼きの世界に引きずり込むための武器にはなるかもしれません。

わたしはこのところ、いつでも炭火を置いておけるように小さな火鉢あたりが欲しいと思っています。

1998.07.18

4月 061998
 

全国の七輪愛好者のみなさまコンニチワ。スギヤマ@江東区がお送りする「七輪通信」第3号です。前回の配信からすでに3ヶ月ちかく経過しているのでもう忘れられてしまっているかもしれませんね。どうです、みなさん七輪使ってます?七輪の上に並べた食材って、自然と季節感を映した物になりますよね。これからの季節もおいしい食材が目白押し。みなさんおすすめの食材がありましたら教えてください。

【七輪とダッジオーブン】

前回の予告で、七輪とダッジオーブンを比較考察すると書いておきながら、さて書こうかという段になって初めて気が付きました。七輪とダッジオーブンでは用途がちがう!七輪は加熱の道具でダッジオーブンはナベ(兼オーブン)ぢゃないか!せっかく文化論にまで話を広げようと思っていたのに・・・何たる勘違い、何たる早とちり。しかし七輪通信をご覧の諸兄は、前回の予告の段でこれは巷によくあるステレオタイプな「農耕民族と狩猟民族の比較文化論」(もどき)だという事を看破していた事でしょう。ゴメンナサイ、まったく以ってその通りです。

しかし、狩猟民族=移動、農耕民族=定住と考えると、土製の調理器具である七輪や土鍋はやはり定住を前提とした道具でしょうし、ダッジオーブンは移動や野外での使用を前提としているのかもしれません。(それにしてはダッジオーブンは重いですがね。それに日本にも南部鉄器というのがあるし・・・)

オーブンといえば私は以前から、材料を上からも加熱するこうした調理器具や調理方法が、なぜ欧米では一般的なのに日本では発達しなかったのか疑問に思っています。これについて論じたモノってあるのかしら。やはり暖炉と囲炉裏なんかに帰結するのでしょうかね。

おっと脱線。七輪とダッジオーブンです。「比較文化論」は諦め「アメリカ文化崇拝と日本文化への回帰(復古)」とでもします。(これもパターン化のひとつか?)

現在の七輪の隆盛(←本当?)を考察してみました。昨今の七輪ファンの増加にはアウトドアブームが密接に関与しているでしょう。あと、グルメ(厭な響きっ)ブームの影響も否定できません。

アウトドアといえば当然アメリカ。ブームの中心は当然、Made in U.S.A.カタログからポパイに至る世代でしょう。完全なアメリカ崇拝者たちです。コールマン、シェラデザイン、バックetc….まあ、機能に優れた格好良いプロダクトなのですから、皆があこがれるのも当然。当時のアメリカではバックパッキングブームの影響で、こうしたアウトドアグッズ類が大きく進化した事も関係している事でしょう。

こうしたブームの中には、その流れからちょっと違う方向を向きたいヒトがかならず居るもの。早い話がへそ曲がり、あまのじゃくです。コールマンの2バーナーが全盛の中で、皆と一緒はヤダと云うヒトの幾人かが七輪に目を向けた事でしょう。目を向けたというより、思い出したという方が適当かもしれません。「なーんだ、身近にこんなに良いものがあるじゃないか」と。

外国文化にあこがれ、指向していると、何かの拍子にそうした外の文化に勝るとも劣らない文化が身近に存在することに気付く事があります。そして、それがもっとも自分に合っている事に感銘を受けるのです。海外旅行から帰ってくると、ごはんと味噌汁がいちばん美味しいと思う気持ちと同じかもしれません。(女性然り!?)

【おつゆをこぼすな】

アサリやハマグリも春から夏にかけて旬を迎える美味しい食材のひとつ。東京湾でもぼちぼち潮干狩りの話題が聞かれる時期となりました。ところで、こうした2枚貝を焼く時、みなさんはどうしてます。わたしはうっかりすると、貝が開くときやひっくり返すときに流れ出てしまうあの美味しい”おつゆ”が惜しくて仕方ないのです。

貝って焼けてくるとぱかっと開きますよね。で、たいてい上側の殻に身が着いているのでバランスを失ってひっくり返り、美味しいおつゆがこぼれてしまいがちです。また、無事に開いても、上側に着いた身とおつゆを一緒にいただくためには、これをひっくり返さなければなりません。

わたしはこうした時、開いた殻を手で閉じてひっくり返すのですが、素手では熱くてできません。そこで軍手をはめての作業となります。ところが、手で貝を閉じてもわずかな隙間からこぼれ出る熱いおつゆが軍手にしみて滅法熱いんです。素手ならすぐに振り払えば収まる熱さでしょうが、軍手にしみているので熱さが引かずに苦悶するのです。小さなアサリを相手に格闘する姿。本人は本気でも端から見たらさぞ間抜けな事でしょう。

こうした熱い思いをせず、美味しいおつゆを失わない様にアサリをいただくため、先日わたしは貝のちょうつがい(蝶番)を取り去る事を思いつき実行しました。焼く前にこの蝶番をナイフで削り落とすのです。蝶番を落として貝が開かなしてから火にかけ、下側の殻と貝柱が火が通って離れたら、ひっくり返して離れた貝殻を外せば、うまく行くと云う算段です。

その結果、あのぱかっと開き、ひっくり返る事を避けることは出来たのですが、火の通りを判断する事に問題を生じました。そう、貝が開いてくれないと火の通りが判断できないのです。その他にも、貝をいただくときの取っ手として便利な、開いた側の殻が無いのも不便です。

と云うことで、今回の試行は失敗でした。しかしこの試みにより貝を食するプロセスでは、貝がぱかっと開く瞬間が如何にその楽しみの多くを占めているかが分かりました。あなたも想像してみてください。焼いてもいっこうに開かないハマグリを・・・オイシクなさそうでしょ!

貝のおつゆを逃さずにいただく方法については、これからも探求してみるつもりです。良い方法をご存知の方はぜひともお教えください。今回の蝶番外しの他にも、焼き網の網目寸法や形状を工夫する事も必要かもしれませんし、エスカルゴ挟みを改造するなんて方法もあるかもしれませんね。聞いた話では江東区の亀戸あたりに焼き蛤専門店?があるらしいので、そちらの調査もしてみたいものです。

【関連グッズ】エンタツ

「エンタツ」と云う火起こしを補助する器具を見つけました。詳細は以下の説明をご覧ください。柿渋のウチワや火吹き竹も良いですが、こんなのもアリですね。シンプルな構造には好感が持てます。(製品は金属製の筒なので自作も可能か?)以下、製品の説明より引用。

”この筒は七輪の上に乗せて使います。その名もエンタツ。つまり煙突ですね。これがなかなかの優れ物なんです。実は「炭おこしの達人」なのです。どの様に使うかと言うと、先ず、新聞紙などの焚付けを置きその上に炭を置きます。新聞紙に火を付けたらこのエンタツをかぶせます。これでおしまい。後は10分か15分したら勝手に炭がおきています。原理は正に煙突、筒の中に上昇気流を起こすので、下からファンで風を送るのと同じ効果があります。一度使ったら驚きますよ。ホントにおすすめです!お一つどうぞ。七輪だけじゃあなく、バーベキューコンロなどでも勿論使えます。\1,200(送料\600)”

http://www.sun-inet.or.jp/~auvel/shop/goods/gd_etc/entatu/entatu.htm

【関連書籍】「炭火クッキング道楽」

増田幹雄編 創森社 \1,300-
アウトドアに限定しない炭火料理関係の図書。七輪通信はこの記事からの引用(盗用?)が多い?

【次回予告】

蝶番って言葉は、貝が開いた時の形状がその由来なのでしょうか。文字も形も綺麗ですよね。蝶の中にはナントカシジミって名前のものがいますけど、あのシジミは蜆なのかしら? ところで栄螺(サザエ)とかの巻き貝に虫偏が付くのは頷けますが、蜆や蛤にも虫が付くのは解せませんよね。

このところ週刊誌やTVで、七輪を使った焼肉屋の紹介やちょっとした特集を目にする事が多い様に感じます。はたしてこれを大々的に取り上げるのはTV東京でしょうか。それともサライ、ポタ?

次回は七輪とは切っても切れない関係の”お醤油”について考えてみたいと思います。「ショーユより炭のが先だろ!」とおっしゃる方もいらっしゃるでしょうが・・・許して!

1998.04.06

1月 121998
 

全国の七輪マニアのみなさんお久しぶり。スギヤマ@江東区がお送りする「七輪通信」です。「七輪通信」第2号では七輪に関連するHPをご紹介します。

この七輪通信はインターネットのメールで配信しているのにも関わらず、つい最近まで七輪のウェブサイトの事なんて考えもしませんでした。まさかあるとは思わなかったからです。・・・ところが先日gooで「七輪」を検索してみたら412件もヒット。七輪をキャンプで使っているヒトや七輪を使っている焼肉屋から七輪(ナナワ?シチリン?)さんまで。そんなこんなでスギヤマおすすめのHPを紹介します。

・鍵主工業株式会社

www.kaginushi.co.jp
ずばり、七輪を造っている会社。あるんですねこうしたHPが。やっぱインターネットはスゴイわ。このHPでは珪藻土の事から七輪の使い方や初心者のBBQ講座、炭火の起こし方、便利な小道具といったTipsまで盛りだくさん。もちろん製品の購入もOK。

・株式会社ハウジングスタッフ

http://ns.karatsu.or.jp/housings/index.htm
石川県野々市町の住宅屋さんのHPですが、「珪藻土」を使った住宅が紹介されています。何でも七輪と同様に、調湿・断熱・無害など建築素材としても優れた性質を持っているんですって。

・TKYMたかやまさんのHP

http://homepage2.nifty.com/tkymcoffee/sub1.html
こだわりのヒト。鰻を買ってきて七輪で蒲焼きを作るまでの過程が面白い。コーヒー豆も七輪で炒っている様だ。七輪が生活の道具になっていらっしゃる。

・abekenさんのHP

http://www.fureai.or.jp/~abeken/index.html
七輪との関係やさんまの焼き方が楽しめます。わたしはこの方の下町の路地での七輪の情景描写が好きです。七輪情報を募集中だそうです。

・オカダさんのHP “Don’t Trust Over Thirty”

http://www2.gol.com/users/sokada/index.html
七輪エバンジェリストの都会派七輪ユーザー。マンションのベランダで七輪を楽しんでおられる。果たしてサンマの煙は大丈夫だったのであろうか?

…以上の他にもインターネット上には七輪に言及したHPも数多く見受けられました。七輪で食材を焼いて出す食べ物屋さんや、炭火焙煎のコーヒー、個人の方のHPは生活密着型とグルメ派、それからアウトドア派の方がいらっしゃる様です。インターネットは居ながらにしてこれだけの情報が手に入ってしまうのだから素晴らしいですね。反面、情報が簡単に手に入ってしまうため、情報の貴重性が失われてしまう様な気がするのは私だけでしょうか。

苦労して入手した物は大事にするけれども、簡単に手に入る物って大事にしませんよね。情報も潤沢に氾濫していると消費しがちですが、少ないと大事にしますもの。

わたしは七輪が一部の年寄り、田舎もん、下町のおじちゃんおばちゃんたちの物として徐々に廃れてしまう立場から、情報の流通により多くの人たちが使うようになる事を期待しています。昨今のアウトドアブームはその追い風となることでしょう。

一度火が着けばブームという勢いの去った後でも、その火は小さくとも消えずに生き永らえて行くことでしょう。そう、炭火の様に。

先日の関東の大雪の翌々日、ウチの近所のまだ周りに雪の残る軒先で、おじちゃんとおばちゃんが七輪を囲んで餅を焼いてました。こんな時です「下町も良いなあ」と思う時は。(下町では玄関先や軒先は路上とほぼ同義)

【蘊蓄】しちりん

七輪・七厘(価が七厘ほどの炭で間に合うの意からという)炭火を熾したり、煮炊きをしたりするための簡便な土製のこんろ(焜炉)。以上小学館:大辞泉より。七厘って幾らくらいか分からないけど省エネ(昔は=ビンボー)なツールなのね。 

【蘊蓄】けいそうど

珪藻土は大昔に繁茂していた珪藻という植物プランクトン(藻)の死骸が堆積して出来た土で、現在の能登半島の土の3/4を占めているんですって。・・・っていうことは七輪にとって能登半島はまさに聖地。七輪の信者は一度は巡礼に行かねばなりませぬ。

【オススメ食材】蟹

カニですカニ。刺身や茹でがにももちろん美味しいですが、カニの味となったら焼きがにでしょう。味の濃さがちがいます。カニの種類は予算次第。七輪の聖地、石川・能登半島と来たらズワイ(越前/松葉)ガニと行きたい所ですが、高くて手が出ない(我が家の事)ならタラバガニなんかも太くてグッドです。 

【予告】

次回はアウトドアブームに乗って広がる我らが七輪と、それと並んでこのところ勢いを増しているダッジオーブンについて比較・考察してみたいと思います。乞ご期待(挫折して内容を変更するかも) 

【告白】

珪藻土や七輪だのと書いてはおりますが、現在我が家の七輪はしちりんではありません。何故かというと「土製のこんろ」ではなく鉄製のこんろだからです。薄い鉄板を加工し、内側に耐火材を張った名前も[THE SHICHIRIN]なるもの。見た目は悪いけど軽くて持ち運びには便利なんです。それにぶつけても崩れたりしないですからね。 

もっとも、ちゃんとした珪藻土の七輪も買ってはあります。こいつは今度木箱を作って移動に便利なようにしようかなんて考えています。(構想で挫折するのが私の常ですが)

1998.01.12

10月 231997
 

全国の七輪マニア(んなヒトいるのか?)のみなさんコンニチワ。スギヤマ@江東区がお送りする「七輪通信」です。「七輪通信」創刊号ではマニア垂涎、あの「削り出し七輪」をお伝えします。

「削り出し七輪」と聞いてぴんと来ない方、あなたはまだまだ勉強が足りません。今の世の中、何事も「格好」や「道具」から入るのが現代人の作法でありスタイルです。(^_^) ふつうの七輪や、アウトドアショップ等で入手した金属製の七輪から入門した七輪好きは更なる「七輪道?」の修行に励みましょう。

もっとも一般的な肌色の七輪は、耐火材料を練り固めてから成型・焼成したものですが、「削り出し七輪」は耐火材料の原料である珪藻土の塊を地中から切り出し、それを職人がノミでひとつひとつ削って造られます。その製作工程のため形状も角形で、飛騨の名物「朴葉焼き」で使用される小さな角形の火鉢に近い形です。

現在、日本でこの「削り出しの七輪」を製造しているのは石川県珠洲市の(有)丸和工業だけ(訂正:他に2社あり)の様です。しかも丸和工業は社長の小染氏(訂正:社長は脇田氏)自身が削り出しの職人で、後継者もいない模様。小染氏もすでに六〇代のため残念ながらこの「削り出しの七輪」も消えゆく運命(訂正:2社には後継者あり)にあるのです。

この手作りの「削り出しの七輪」を使えば炭火焼きの味もさらに増し、あなたは至福の時を過ごすことができるでしょう。失われる運命の七輪に思いを馳せながら焼く茄子は最高ではないでしょうか….って、わたしも使ったこと無いんです。

以上は昨晩の東京12chの番組、消えゆく職人技という様な内容の番組で放映されていました。以前、別番組で放映された時のメモをなくし「珠洲市」しか記憶に無かったわたしは早速メモを手にチェックしました。もし販売先をご存知の方は情報を提供ください。わたしすぐ買います。

じつは丸和工業の連絡先はすでにチェックしてあります。下記参照。ただ、いきなり電話して「金送るから送ってくれ」というのはちと気が引けるのです。番組からはそうした商売には慣れていないように感じたものですから。ある程度数がまとまれば遠慮無く注文できるのですがね。

わたしは妻の実家が石川県ですので、今度行った時には是非ゲットしたいと思っています。今はTV放映によって「削り出し七輪」市場?が荒らされない事を祈るばかりです。

その他、「削り出し七輪」にかかわらず七輪に関する情報がありましたらお寄せください。炭の事とか、オススメの食材の事とかね。不定期ではありますがこの「七輪通信」、続けて行きたいと思います。(飽きっぽいのも現代人=わたしの性質ですがね)こんど皆で七輪BBQでもしましょう。

「珪藻土削出七輪」 製造元(有)丸和工業

珠洲市正院町平床立野26 Tel:0768-82-5313 Fax:0768-82-5403 角形:\5,500-(丸型もある様です)

1997.10.23

:先日珠洲市内の七輪メーカーの方より、この時の放送内容には多くの事実誤認があるとのご指摘をいただきました。ありがとうございます。コンテンツ作成者といたしましては事実確認と新たな情報の収集のため、近日中に現地取材を敢行する予定です。1998.08.03

:その後、現地取材を行いました。訂正個所は文中に記載。なお、取材の模様は七輪通信第5号,第6号および増刊号をご覧ください。1998.08.21