6月 182012
 

バルブタイミングおよびバルブリフト量はカムシャフトの形状(カムプロフィール)により決まり、それがエンジンの特性に大きく影響する。

高出力なエンジンにするためにはバルブが早く開く様なバルブタイミングにし、バルブが大きく開く様にリフト量を増やす形状のカムにする必要がある。

しかし、高出力だけを求めると低中速域でのトルク不足や燃費の悪化を生じるため、実用エンジンでは全体のバランスを考えたカムプロフィールとなっている。

スーパーカブではどうだろう。カブは実用車だ。遅いのは困るが最高速度や加速性能はそこそこでよいので、高出力は要らないといえる。

しかし、体重100kgの人が80kgの荷物を積んでもある程度の坂道は登れなければ困るので、そうした状況を考慮すると高出力も必要だ。坂といえば長崎ほどカブに過酷な場所は無いかもしれない。行った事の無い方は「長崎 坂」で検索してみましょう。

もちろん実用車なので燃費が悪くてはダメなワケなのだが、様々な人が様々な場所で様々な用途で使っているのに対して、カブのエンジンは1種類だけ。種類が少ないとも言えるが1つのエンジンでこれだけの用途をカバーするオールマイティなエンジンとも言える。

『様々な用途をカバーするオールマイティなエンジン』そこにエンジンの性格を変える余地があるワケです。

「最高速度は70km/hでOK」「体重と荷物の合計は80kg以下」「坂道の無い町」という様に用途や求める出力を限定すれば、その分の不要は出力を燃費の向上という性能に振り分ける事ができるのだ。

ノーマルのスーパーカブのエンジンの性格を「少し大人しく燃費が良い性格」に変える方法は簡単。バルブクリアランスを広げらば良い。

エンジンの性格を決めているカムシャフト。そのカムシャフトの形状=情報をバルブに伝達しているのがロッカーアーム。

ロッカーアームの本来の仕事はカムシャフトの形状通りにその情報をバルブに伝達する事だが、バルブクリアランスを広げるとカムの情報がバルブに「遅く」「少なく」伝わるのだ。

バルブクリアランス(タペットクリアランス)の整備基準は0.05mm。これを広げると「バルブが開きはじめる時間が遅く」なり「バルブが閉じる時間は早く」なる。つまり「バルブが開いている時間が短く」なるわけだ。

その結果「吸気バルブと排気バルブが両方とも開いている時間が短く」なるし、もちろん「バルブが開く量も少なく」なる。

これらは燃費の向上につながるのに加えて「低速域でのトルクアップ」にも寄与し、乗りやすい性格のエンジンになる。試してみれば従来より低い速度からトップギアで加速できることが体感できると思う。

その代償として最高出力が犠牲となるのだが、最高出力の出るまでエンジンを回す事がどれほどあるだろう。あと、バルブクリアランスを広げるとタペットがバルブをたたくカチカチという音が大きくなるのが気になるかもしれない。

もちろん私のカブもバルブクリアランスを広げています。低回転域からじわじわと加速でき、巡航速度は空気抵抗を考慮して60km/hほど。この速度はサイクルメーターでの正しい値です。

もっとも、あまりゆっくりとした加速は燃費にはマイナスに働く事もありますのでほどほどに。エンジンがもっとも効率的に働く回転域を使って巡航速度まで加速すれば、ゆっくりすぎる加速よりアクセルを早く閉じられるので、結果的に燃費が良くなる事もあるのです。

さらに燃費を追及する場合はメインジェットを小さくしたり、ドライブスプロケットを大きくしたりドリブンスプロケットを小さくしても良いでしょう。