Super Cub “PGM-FI” 2005年発売

ホンダが50ccのバイクに電子制御式燃料噴射装置(PGM-FI)を使う事を発表した。(ホンダの広報資料)カブ好きは「スーパーカブがインジェクション仕様になる!」事を期待して待とう。なお、時期は2005年が目処で、当面は一部車種への仕様設定という形となる様だ。(カブのインジェクション仕様はやはりカスタムに設定されるのかしら)
ホンダの云うPGM-FIのメリットは低燃費と排ガスの低減である。しかし、これはユーザーメリットとしてはさほど大きなモノではない。現在でもカブは十分に低燃費であるし、排ガスが綺麗だという事に投資するユーザーは殆どいないのではないだろうか。

現段階ではPGM-FI化云々より2ストのバイクの低燃費化や排ガスの低減の方が重要であり環境への効果も高い。実際、ホンダは2ストエンジンの廃止の方向ですでに動き出しており、今回の発表は2スト廃止の次のステップと考えられる。

こうしたホンダの動きだけを見ていると2ストは古くて無くなるべき方式ともとれるが盲従すべきでは無いだろう。ホンダの2スト廃止は一般ユーザーに対して、極めて分かりやすい形で省資源や排ガスの低減という企業姿勢をアピールする方策であり、4ストに負けない2ストエンジンの開発に取り組んでいるメーカーも少なくない。これらのメーカーはホンダよりも早い時期に2ストエンジンの電子制御燃料噴射を実用化するかもしれない。

さて、わたしはPGM-FI化の別なる目的はパワーアップであると見ている。電子制御による燃料噴射は常に最適な燃料を供給でき、あわせて電子制御で点火時期を細かくコントロールする事で低回転域での十分なトルクと高回転化を両立させる事が可能なのだ。

スーパーカブの50にはもうパワーは要らない。30km/hという制限のためである。しかし、これはカブの様にマニュアルで変速できる場合であり、オートマチック車となるとパワーロスが多く現状の4ストエンジンでは役不足なのだ。4ストで現在の2ストスクーターと変わらない加速力を得るためにはパワーが必要なのである。

つまり、50ccの4ストエンジンでPGM-FIを必要としているのはスーパーカブでは無く本当はスクーターなのだ。最近発売された4ストエンジンのスクーターであるジョルノクレアが水冷方式と電子制御点火を採用したのもパワーアップが目的であろう。

ただ、今回の発表では試作モデルの写真が公開されており、それは100ccのカブ系エンジンである事からスーパーカブがPGM-FI化される事に期待しているワケである。

自動二輪車の免許を持つ身としては50ccがPGM-FI化されるなら70ccや90ccにも採用してほしいものである。このクラスなら出力を制限することも不要であろうからパワーアップの恩恵を十分に受けられる。

ただし、何れにせよPGM-FI化の最大のネックはコストアップであろう。コンピューターを筆頭に速度やアクセル開度、吸・排気温度のセンサー類やインジェクター、燃料ポンプ等々、販売価格を上げる要素に事欠かない。この問題を解決するためには技術的ブレークスルーか自動車的規模の量産化が不可欠である。

スーパーカブは発売以降すでに40年以上経過し、数限りない改良を積み重ねて来たワケであるが、エンジンの目立った新技術の導入に限ると、1965年のOHC化と1980年代前半のCDI化と12V化程度である。

昨今の環境対策は新たな技術の導入を加速させそうな気配。水冷、PGM-FI、触媒コンバーター、デジタル点火制御等技術マニアには面白い展開となるであろうが、サンデーメカニックにはブラックボックス化となってしまうかもしれない。私としてはそれまでにデジタル制御の知識を勉強し、スーパーカブのROMチューンくらいはできる様になりたいモノである。

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