今年も9月23-24の両日、エコランの大会「第21回本田宗一郎杯ホンダエコノパワー燃費競技全国大会」の市販車(2輪車)クラスに出場した。(去年の出場記はこちら)
前回はマシンをOHVのC100からOHCのC50に変えてエントリーし、252km/lの記録で5位入賞を果たせたので、今年は目標を300km/lオーバー、順位は相手次第だができれば前回以上になりたいと思っていた。また、今年からレギュレーションに「風防やカウル類の装着は禁止とする」旨の一文が追加されたので、上位陣は昨年の様な400km/lオーバーといった記録は望めないと思われた。
空力付加物の装着はそれ以前のレギュレーションでも禁止されてはいたが、あやふやな表現であったため、フルカウルといえる車両が上位に入賞し、初心者クラスでもあるこのクラスの趣旨から外れたものになってきてしまっていた。そのため改めて明文化されたのだろう。
とはいえ私の車両も昨年までは、フロントタイヤを覆う形のゼッケンプレートを付けていた。しかしこれは空力付加物では無く、あくまでもゼッケンプレートのつもりだが、今回はこれがレギュレーション違反となる可能性を危惧しゼッケン位置を変更。ライダーの膝を隠す位置と形状とした。もちろんこれも空気抵抗の軽減効果を狙った変更である。
ホイールカバーも今年から使えないと思われたが、念のため材料を持参。現場で他のチームの様子を見ると、着けているチームが多かったので現場で作成し取り付け、フロントゼッケンは前輪を覆う位置に取り付けた。
車両の方は去年の仕様である角目のカスタムからリアフェンダーを取り外し、ハンドル周りは丸目の物に交換したものであり、エンジンを含めて大きな変更はしていないが細かい部分をいじっている。変更点としては車高を下げた事と各部の計量化で、車高の低下は前面投影面積の減少を、計量化は加速抵抗の減少を狙ったものだ。
その他、従来よりスピードメーターとして自転車用の非接触式サイクルコンピュータを使用しているが、今年は万一のトラブルを考慮しサイクルコンピュータを2セット装着。またホイールに取り付けるセンサー用のマグネットを2個取り付けて信号数を倍とし、コンピュータにセットするタイヤの周長を実際の半分の長さとする事で、速度変化への応答性を向上させた。
エンジンの方も去年と変わらず吸気カットとミッションのギア抜き、それにドライブスプロケットのフリーホイール(ワンウェイクラッチ)化のみ。昨年失敗したクラッチセンターの軸受メタルのローラーベアリング化は廃止しノーマルに戻した。
その他、チェーンを自転車用のチェーンに交換し、ドリブンスプロケットも自転車用にしようと試みたが、テスト段階で手加工のカウンターシャフトの偏心が原因のチェーン外れが発生したため、これはシャフトの機械加工と共に来年への課題となった。
また、点火系をノーマルの交流発電式からバッテリー点火式に改造しようとしたが、部品の入手に手間取り、揃ったのが本番の2週間前だったので、あせって未完成なもので出てリタイヤしたくないためこれも来年用とする事にした。
それ以外にもバッテリーをラジコン用の7.2ボルトのニッカド電池を2本直列につないで14.4ボルトにすればセルが勢い良く回って始動性が向上すると試したがこれもテスト不足で容量に不安を感じたので来年回し。
今回は本番の1週間前に少しではあるが、テスト走行もできたので気分的に楽だった。また今回は3連休の後の2日間がイベントの日だったので、前日から茂木の隣村に宿泊し初日の早朝に平坦な場所でセッティング。前回のテスト走行で十分以上のパワーがあったので、メインジェットを小径のものに交換したらアクセルにエンジン回転がついてこなくなってしまったが、エアボックスの吸気口を絞り、マフラーの後端を潰して狭める事で良い状態となった。
車検では今年から車両規則を厳格に適用する事になっていて、マフラーやステップはノーマル部品でなくてはならないと言われる。持ってきていないわたしたちは唖然としたが競技委員長と交渉し明日の朝までにノーマル部品に交換すれば良いという事になった。
ノーマルのマフラーは面識の無いチームがパドック用として持ってきていた1970年代のカブから借用。ステップは1959年のC100を積んできていたのでこれから外し、無理やり取り付けて何とか車検を通す事ができた。
エンジンのディテールが分かる様に露出オーバーにしてあります。冷えない様にシリンダーやヘッドのフィンはすべて切除。空気抵抗(前面投影面積)を減らすためサスペンションはいわゆるシャコタン化。
余裕をもって臨んだつもりがとんだハプニングで混乱したが、記録会はオーバルコースを無事に2周し結果は約320km/lと目標の300km/lをオーバー。やはり事前のセッティングが上手く行った様だ。今回は常勝チームの本田熊本製作所(スーパーカブの生産工場)が出場していないので順位も1位。このまま運が良ければ決勝でも1位が狙えるとの期待もあるが、熊本製作所という大きな目標がない大会での入賞では、何か物足りないものもあるとドライバーのミナトと話す。
翌日の決勝でもセッティングの変更は無し。おかげでこれまでは毎回バタバタして果たせなかった仲間とのパドックツアーを今年は行う事ができ、DDWさんのエンジン発電機+モーター車などを見て回る。その後で偶然、自分の高校時代の母校も出場しているのを知りジュースを差し入れ。20年以上前の卒業生の私に知る顔は無かったが何となくうれしいものだ。
決勝はだいぶ早いペースであったが3周を無事にこなしてゴール。早速計測した値を電卓で計算してみると351.9km/l。しばらくして出た暫定結果を見ると1位だ。今回の結果は自分の力で勝ち取ったというより、常勝チームの不参加という正に棚ボタの結果ではあるがやはり一番は嬉しいもの。チーム仲間の長田さんも記録会の3位から順位を上げて2位と、私たちチームスーパーカブスはアベック入賞。とても良い思いをさせてもらえました。
今年で5度目の出場。回を重ねるたびにエコランの難しさと面白さにハマってゆく自分が分かる。これもドライバーで理解者?でもる妻と応援してくれる友人たちのおかげだ。こうした楽しみを与えてくれる縁となったのがスーパーカブ。やはり素晴らしいヤツである、感謝。