左側はホンダのHMマークですが右側はHWです。これはブレーキシューの刻印(鋳込文字)です。両方をならべて置いておけばわかると思いますが、HWの方だけが置かれていれば見逃してしまうかもしれません。
このHWのブレーキシューを「社外品」として売るのは許されると思いますが「純正品です」と言って売れば犯罪です。しかし「カブのブレーキシューです」としか言わなければ「買う側が勝手に純正部品と思って」しまう可能性はありそうですし、実際その様に売られていたのでしょう。
そこでホンダ系列の部品商から、この様な「御触書」が販売店に配られました。
これが配られたのは1980年代の末=昭和の終わるころでした。わたしはこの注意書きが「販売店への注意喚起」よりも「販売店への牽制」だったと見ています。
HMマークであろうがHWマークであろうが、販売店が通常の仕入れルートと異なるところから部品を買うとしたら「安いこと」以外の理由は考えにくいと思います。そして「安いのには理由がある」ことはプロならわかるでしょう。
そうです、このHWマークのブレーキシューは売る側はもちろん、買う側も社外品≒ニゼモノと知った上で、この部品を仕入れ、修理に使っていたのだと思います。
純正部品よりも安い社外品を使ってカブを修理し、利益を大きくできるのは、まとまった台数のカブのメンテナンスを請け負っている販売(修理)店でしょう。郵便局や新聞販売店と契約しているお店です。
ホンダ側は「ウチの部品を使わず、安い社外品を使い続ける」なら「おたくのお客さんにニセモノを使って利益を上げている事を・・・」
この注意書きの目的はこれであったと考える「現在のわたし」です。この注書きを手に入れた当時のわたしは「文面通り」に受け取って「世の中にはニセモノを作って売る悪い業者がいる」のだと素直に思っていました。
しかしこのHwのブレーキシュー、マニアならひとつ持っていたいモノですよね。こうした駄洒落やパロディの様な、まぎらわしい社外品ってほかにもあるのでしょうか。