リトルカブ開発責任者インタビュー

先日リトルカブの開発責任者(Large Project Leader)の方に話を伺う機会がありました。今回はその時の会話の一部をQ&A形式で述べさせていただきます。

Q: リトルカブ(以下リトル)の開発コンセプトは?

A: リトルは小柄な人がターゲット。これまでのスーパーカブ(以下Sカブ)のユーザーとは異なる新しいユーザーへにもアピールできるモデルとして開発。

Q: 郵政カブ(MD)の14インチ径のタイヤを流用したのでは?

A: Yes

↑リトル開発時の“発想”という面でYesと答えたのだろうが、郵政の部品は一切リトルに流用していない。タイヤだってリトルと郵政では別物…となぜかホンダの肩をもつ私(^_^)

Q: リトル開発の苦労は?

A: Sカブベースのモデルは開発者にとってやりにくい仕事。完成されたデザインのため何をやっても全体のバランスが崩れてしまう。リトルも当初はそれほど難しい仕事とは思わなかったが、タイヤを小さくしただけではダメで、フェンダー、ハンドル、サイドカバーと次々に変更して行かなければならなかった。

Q: リトルとSカブの違いは?

A: タイヤや外装は見ての通りだが、ロードクリアランス(エンジンの下の高さ)の確保のため、マフラー、ステップ等を専用部品とした。タイヤ径の違いによるギア比の差はスプロケットで調整し、Sカブと同じにしている。

Q: リトルの販売は順調?

A: おかげさまで当初の販売目標を達成したので私は今ここに居る(笑)

↑良かったですねぇおめでとうございます。(こういうのが売れればホンダも更なるバリエーションを作る気になるだろうからネ、CTとか…)

Q: リトルの燃費(カタログデータ)がSカブよりも悪いのは?

A: タイヤの径が小さいため。ただし、リトルのタイヤはSカブよりも太い関係で寿命はSカブよりも長い。燃料、タイヤ経費を合わせるとリトルの方がランニングコストは低いと思う。

以下はリトルに限定しない質問。

Q: ウインカーSWが使いにくいのでは?

A: 通常のレイアウトに慣れた方には使いにくいと思うが、カブに慣れた人の事を考えると変更できない。

Q: Sカブのフレーム肉厚が排気量で違うというのは事実?

A: プレス部の鉄板の板厚、50は1.0ミリ、70と90は1.2ミリ。フレームパイプ部、フロントフォーク、スイングアームは同一と思う。

Q: 1速が低すぎて発進以外には使えない。信号が赤で停止しようとする寸前に青に変わった時、2速では加速が鈍くて恐い思いをする。(特に50cc)

A: 質問の通りだが、1速は最も過酷な状況でも走れるギア比としてある。例えると荷物満載で急坂を上る様な状況。長崎では切実で家に帰れるか帰れないかの問題。

↑実際、長崎ではスーパーカブに限らず90ccや100cc等のクラスが他の地域より売れているそうです。

Q: CT110の国内販売は?

A: 分からない。しかしニーズがあれば売る可能性はあると思う。

↑発売したら私が1台買います…って何人かが言ってもそんなのはマーケットを反映しているとは言えないしなぁ。リサーチの結果、発売しないのかもしれないし。それに、CT110を欲するヒトたちなんて普通のユーザーとは言えない(^_^)

Q: 生産工場は?

A: Sカブ、リトル、CT110共にすべて九州工場(熊本製作所)で製造。団体で申し込めば工場見学できると思う。

Q: Sカブでも大柄な人には小さい。お尻を後ろにずらすとキャリヤに当たる。

A: 確かに175センチ以上の方には窮屈。シートの後端を跳ね上げたのはお尻がキャリアに当たるのを防ぐ対策。

Q: C50カスタムだけが採用しているアンチリフト機構は実用的なメリットがあるが、なぜ他機種へ採用されないの?

A: C50カスタムはトップグレードであり、他機種との差別化を図っている。

 現在のスーパーカブは1980年代の前半に12V仕様になって以来、外見上はほとんど変化がない。もちろん見えないところの改良はたゆまず行われているが、本当に完成されてしまったのだろう。メーカーがデザインを変えたくても多くのユーザーたちがそれを望まない状況といえるかもしれない。

 もしかしたら、この世でガソリンエンジンのバイクが使われるかぎり、スーパーカブのデザインに大きな変化は無いのでは。もし、新しいデザインのカブが出るとしてもリトルカブの様にバリエーションモデルとしてだろう。

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