今年も10月10-11日の両日、ホンダのエコラン大会「第19回本田宗一郎杯ホンダエコノパワー燃費競技全国大会」の市販車(2輪車)クラスにOHVのカブ(C100)で出場した。出場も今年で3回目なので準備も手慣れたものである。今回は昨年以上の記録を目指してエンジンの改造や空気抵抗の低減のための改造をした。これで昨年の163km/lを上回る180km/l程度は出るだろう、あわよくば200km/l.台を…と思っていたのだ。
エンジンは当初、始動性の向上を狙ってツインプラグにする予定でしたが、大会の直前になってデンソーからカブに使える、イリジウムプラグという中心電極の太さが0.4mmという製品が出ていることを見つけた。これなら始動性が向上するだろうと確信しツインプラグ化は中止とした。ツンプラグ化には燃焼室表面積の増大や圧縮比の低下といったデメリットもあるのでシングルプラグで済むならそれに越した事はないのだ。
また、エンジン本体の改造として圧縮比のアップも行った。方法はシリンダーとクランクケースの間にあるベースガスケットを薄くする方法である。ノーマルのガスケットは厚さが0.5mm。ノギスを手にうろうろと探し手許にあった封筒が0.25mmだったのでそれを切って代用。これでパワーも増大するだろう…何ともチープな方法である(^_^)
その他、エンジン系としては排気系の改造を行った。エグゾーストパイプ(エキパイ)の小径化と軽量化である。エキパイはC100用は内径が20mmほどなので、これを現行のC50のエキパイに交換。内径は13mmほどになった。エキパイと一体の大きく重いマフラーは、切り落として代わりに内径16mmのアルミパイプを接続。エキパイを小径化すると中低速域のトルクアップが見込めるという論理的想像?による改造だ。
車体の方は軽量化と空気抵抗の低減を目指した。計量化とは外せる物を外す事。今回は燃料タンクやメインスタンド、ステップも外してみた。ステップを外した代わりとして、スイングアームのボルトを延長してバックステップ化。燃料タンクとそれに乗るシートが無くなったので、ドライバーのミナトには荷台に座ってもらう。また空気抵抗の軽減策として、今回はスポークホイールにプラスチック(塩ビ)の薄板を貼った。
以上、いずれの改造も技術的・論理的想像力によるものであり、何等の定量的なテストも行ってはいない。本来こうした改造は、つねに改造前とのデータを比較して「良い」か「悪い」かを評価しながら行ってゆくものである。これなくして一気に様々な改造を行っても、それらに効果があるのか無いのか分からなくなってしまう。
つまり、本番の1週間前にマシンが組み上がる様ではダメなのである。プラグを換えるなら、その前後でテストを行い効果を確認すべきなのだ。圧縮のアップやエキパイの小径化についても同様。ひとつずつテストと評価を行い進めて行くべきなのである。
・・・と、今回は後悔、反省、自戒の結果となった。記録会では133km/lと低迷。決勝当日もカムを換えたり元に戻したりとバタバタし、いざ本番ではミッショントラブルのため、リタイヤという極めて不本意な結果。戻ってこないマシンを探してバックストレッチ側の駐車場の先まで走って行き、そこで待っていたドライバーの悔しくて悲しそうな顔が忘れられません。来年は心機一転、マジメに出直したいと思っています。
また、今回は一緒にエントリーした長田さんが、OHCのマニュアルミッション車で6位入賞。うらやましいので、来年はOHCとOHVの2カーエントリーを目論見中。早速マシン製作とテストに取り掛からなければ。
追記:前回はシリンダーヘッドをアルミ製の物に替えていたが、エンジンを掛けている時間の少ないエコランでは、放熱性の高い=冷えやすいアルミ製より、冷えにくい鉄製の方が適している。今回の写真を見ますと、エンジンのまわりをアルミ箔で包んでいるので「エンジンの保温の重要性」に気付いた事がわかる。